誰にも言えなかった“高慢さ”と向き合って
2025年07月19日 19:05
正直に言います。
私は、ずっと「傲慢さ」を隠していました。
経営に携わる方なら、きっとご存知のはずです。
【傲慢】も【高慢】も、ただの感情ではなく、時に人の可能性を静かに蝕むものだということを。
【傲慢】とは、外に滲み出るもの。
【高慢】とは、内に潜むもの。
かつて私は、自分の中にその「高慢さ」があることに気づかず、
ただひたすらに、成果と責任を背負い続けてきました。
20代。私は大病院で、命の最前線に立っていました。
救急・災害医療。365日、休みはありません。
東日本大震災では、電源を失った透析装置の前で、
何十人もの「最期」を、電子カルテの“Die”という文字で見送りました。
周囲が結婚・出産・留学と人生を広げていく中、
私は「使命」の名のもとに、休むことさえしなかった。
7年後、私は人事として採用を担うようになります。
誇りでした。努力が報われたと、初めて思えた瞬間でもありました。
けれど、その職場には、育児と両立する多くの若手社員がいました。
優しさに包まれた空気の中で、私はなぜか、静かに苛立っていました。
「もっと本気で働いてほしい」
「マネジメントが甘いのでは?」
「この程度で“両立”と呼べるのか?」
ーーあ、ダメだ。
また、人を責める自分がいる。
でも、それを口には出さず、笑顔で「お子さんをお大事に」と返す私。
正しさの仮面の裏で、私は静かに疲弊していました。
そんな時に出会ったのが、コーチングです。
「相手は変えられない。変えられるのは、自分だけ」
「自分が変われば、相手も変わる可能性がある」
この言葉は、私の心に深く突き刺さりました。
そして、私もそういう力を届けられる人間になりたいと、強く願うようになりました。
コーチングもまた、人の人生に深く関わる仕事です。
だからこそ私は、常に問い直します。
自分の中に、まだ高慢さはないか?
クライアントを“ジャッジ”していないか?
「私の方がよく知っている」という姿勢にすり替わっていないか?
コーチとして大切にしているのは、次の3つです。
✓ クライアントの味方であること
✓ 可能性を誰よりも信じること
✓ 本音でつながれる関係性を築くこと
経営という孤独な戦場に立つ皆さまへ。
私がこのストーリーを語るのは、ただ感情を共有したいからではありません。
本気で成果を出すリーダーほど、同時に「傲慢」と「誠実さ」の境界線に立ちやすい。
それを知っているからこそ、私はエグゼクティブコーチとして、
皆さまの「内なる対話」に伴走する覚悟を持っています。
高慢さを手放すことは、自分の弱さを受け入れることではありません。
それはむしろ、本当の強さを取り戻すプロセスなのです。
そして、その強さこそが、組織を、社会を、未来を変える源になると、私は信じています。
必要なときに、必要な問いを。
どんな答えが出ても、共にそこに居続ける信頼を。
そんなコーチで、私はありたい。